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クイック スタート

This guide will step you through the process of creating a barebones Hello World app in Electron, similar to electron/electron-quick-start.

このチュートリアルを終えると、ブラウザウインドウを開いて Chromium、Node.js、Electron それぞれの実行バージョン情報のウェブページを表示できるアプリが完成します。

必要な環境

Electron を使用するには、 Node.js をインストールする必要があります。 利用可能な最新の LTS バージョンのインストールを推奨します。

お使いのプラットフォーム向けのビルド済みインストーラを使用して、Node.js をインストールするようにしてください。 さもなくば、他の開発ツールと互換性の問題が発生することがあります。

Node.js が正しくインストールされたかどうかを確認するため、お使いのターミナルクライアントで以下のコマンドを入力してください。

node -v
npm -v

このコマンドで、Node.js と npm のバージョンが表示されている必要があります。

注意: Electron は Node.js をバイナリに組み込んでいるため、コードを実行している Node.js のバージョンとシステムが実行しているバージョンは関係ありません。

アプリケーションを作成する

プロジェクトの雛形を作る

Electron アプリは、他の Node.js プロジェクトと同様の一般的な構造に従います。 まず、フォルダを作成し npm パッケージを初期化します。

mkdir my-electron-app && cd my-electron-app
npm init

このインタラクティブな init コマンドでは、設定でいくつかフィールドの入力を促されます。 このチュートリアルの目的上、以下のルールに従ってください。

  • entry pointmain.js でなければなりません。
  • authordescription はどのような値でも構いませんが、アプリのパッケージ化 で必要になります。

package.json ファイルは、以下のようになっていなければなりません。

{
"name": "my-electron-app",
"version": "1.0.0",
"description": "Hello World!",
"main": "main.js",
"author": "Jane Doe",
"license": "MIT"
}

そして、アプリの devDependencieselectron パッケージインストールします。

npm install --save-dev electron

注意: Electron のインストールで問題が発生した場合は、発展的なインストール のガイドをご参照ください。

最後に、Electron を実行できるようにしたいと思います。 package.json の設定の scripts フィールドに、以下のような start コマンドを追加します。

{
"scripts": {
"start": "electron ."
}
}

この start コマンドにより、アプリを開発モードで開けます。

npm start

注: このスクリプトは、Electron をプロジェクトのルートフォルダで実行するように指示しています。 今の段階のアプリでは、実行するアプリが見つからないというエラーが出ます。

メインプロセスを実行する

Electron アプリケーションのエントリポイントは、main スクリプトです。 このスクリプトは、メインプロセス を制御します。メインプロセスは完全な Node.js 環境で実行され、アプリのライフサイクルの制御、ネイティブインターフェースの表示、特権的操作の実行、レンダラープロセスの管理などを行います (詳細は後述)。

実行時、Electron はこのスクリプトをアプリの package.json の設定にある main フィールドから探します。これは プロジェクトの雛形を作る ステップで設定してあるはずです。

main スクリプトを書き始めるにあたって、プロジェクトのルートフォルダに main.js という空のファイルを作成します。

注: この時点で start スクリプトを再度実行すると、アプリはエラーを出さなくなります。 しかし、main.js にコードを追加していないためまだ何もしません。

ウェブページの作成

アプリケーションのウインドウを作成する前に、ウインドウが読み込むコンテンツを作成する必要があります。 Electron では、各ウィンドウがローカル HTML ファイルまたはリモート URL から読み込んだウェブコンテンツを表示します。

このチュートリアルでは、前者を行います。 プロジェクトのルートフォルダに以下の index.html ファイルを作成しましょう。

<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<meta charset="UTF-8">
<!-- https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Web/HTTP/CSP -->
<meta http-equiv="Content-Security-Policy" content="default-src 'self'; script-src 'self'">
<title>Hello World!</title>
</head>
<body>
<h1>Hello World!</h1>
We are using Node.js <span id="node-version"></span>,
Chromium <span id="chrome-version"></span>,
and Electron <span id="electron-version"></span>.
</body>
</html>

注: この HTML ドキュメントを見ると、バージョン番号が本文から抜けていることがわかります。 これは JavaScript で後から手動挿入します。

ブラウザウインドウでウェブページを開く

ウェブページができたので、これをアプリケーションウインドウに読み込ませます。 そのためには、以下 2 つの Electron モジュールが必要です。

  • アプリケーションのイベントライフサイクルを制御する、app モジュール。
  • アプリケーションウインドウを作成し管理する BrowserWindow モジュール。

メインプロセスは Node.js で動作するので、これらを CommonJS モジュールとしてファイル先頭でインポートします。

const { app, BrowserWindow } = require('electron')

次に、createWindow() 関数を追加し、そこで index.html を新規作成した BrowserWindow インスタンスに読み込ませます。

const createWindow = () => {
const win = new BrowserWindow({
width: 800,
height: 600
})

win.loadFile('index.html')
}

次に、この createWindow() 関数を呼び出してウインドウを開きます。

Electron では、app モジュールの ready イベントの発生以降のみ、ブラウザウインドウを作成できます。 このイベントは、app.whenReady() API を使用することで待てます。 whenReady() が Promise を解決した後、それが createWindow() を呼び出します。

app.whenReady().then(() => {
createWindow()
})

注: この時点で、Electron アプリケーションはウェブページを表示するウィンドウを開くことに成功しているはずです。

ウインドウのライフサイクルを管理する

ブラウザウインドウを開くことができるようになりましたが、各プラットフォームでよりネイティブな感じを出すためには、いくつか追加の雛形コードが必要です。 アプリケーションウィンドウは OS ごとに異なる動作をしますが、Electron はこれらの規則をアプリに実装する責任を開発者負担にしています。

一般的には、process グローバルの platform 属性を使用して、特定のオペレーティングシステム専用のコードを実行できます。

全ウインドウを閉じた時にアプリを終了する (Windows & Linux)

一般的に Windows や Linux では、すべてのウィンドウを終了するとアプリケーションが完全に終了します。

これを実装するには、app モジュールの 'window-all-closed' イベントをリッスンします。このイベントが発生し、ユーザーが macOS (darwin) でない場合に app.quit() を呼び出すようにします。

app.on('window-all-closed', () => {
if (process.platform !== 'darwin') app.quit()
})

開いたウインドウがない場合にウインドウを開く (macOS)

Linux や Windows のアプリはウインドウを開いていないと終了してしまいますが、macOS のアプリは一般的にウインドウを開いていなくても起動し続け、ウインドウがないときにアプリをアクティブにすると新規ウインドウが開きます。

この機能を実装するには、app モジュールの activate イベントをリッスンします。ブラウザのウインドウが開いていなければ、既存の createWindow() メソッドを呼び出します。

ready イベントの前ではウインドウを作成できないので、アプリが初期化された後に activate イベントだけをリッスンする必要があります。 そのためには、既存の whenReady() コールバックの中で、イベントリスナーをアタッチします。

app.whenReady().then(() => {
createWindow()

app.on('activate', () => {
if (BrowserWindow.getAllWindows().length === 0) createWindow()
})
})

注: この時点で、ウインドウのコントロールが完全に機能しているはずです。

プリロードスクリプトを使ってレンダラーから Node.js にアクセスする

さて、最後にやるべきことは Electron とその依存関係のバージョン番号をウェブページに出力することです。

この情報へアクセスするには、Node のグローバルである process オブジェクトを介してメインプロセスで行うのが簡単です。 しかし、メインプロセスはレンダラーの document コンテキストにアクセスできないため、メインプロセスから DOM を編集できません。 これらは全く別のプロセスだからです!

注: Electron のプロセスについてもっと詳しく知りたい方は、プロセスモデル のドキュメントをご覧ください。

そこで、プリロード スクリプトをレンダラーにアタッチすると便利です。 プリロードスクリプトは、レンダラープロセスが読み込まれる前に実行され、レンダラーのグローバル (windowdocument など) と Node.js 環境の両方にアクセスできます。

preload.js という名前の新規スクリプトを以下のように作成します。

window.addEventListener('DOMContentLoaded', () => {
const replaceText = (selector, text) => {
const element = document.getElementById(selector)
if (element) element.innerText = text
}

for (const dependency of ['chrome', 'node', 'electron']) {
replaceText(`${dependency}-version`, process.versions[dependency])
}
})

上記のコードでは、Node.js の process.versions オブジェクトにアクセスし、基本的な replaceText ヘルパー関数を実行して HTML ドキュメントにバージョン番号を挿入しています。

このスクリプトをレンダラープロセスにアタッチするには、既存の BrowserWindow コンストラクタの webPreferences.preload 引数にプリロードスクリプトへのパスを渡します。

// ファイルの先頭で Node.js の「path」モジュールをインクルードします
const path = require('path')

// modify your existing createWindow() function
const createWindow = () => {
const win = new BrowserWindow({
width: 800,
height: 600,
webPreferences: {
preload: path.join(__dirname, 'preload.js')
}
})

win.loadFile('index.html')
}
// ...

ここでは、以下 2 つの Node.js のコンセプトが使われています。

  • __dirname 文字列は、現在実行中のスクリプトのパス (ここではプロジェクトのルートフォルダ) を指しています。
  • path.join API は、複数のパス断片を結合し、すべてのプラットフォームで動作する結合パス文字列を作成します。

現在実行中の JavaScript ファイルからの相対パスを使用しているので、開発モードとパッケージモードの両方で相対パスが機能します。

おまけ: ウェブコンテンツに機能を追加する

この時点で、アプリケーションに機能を追加するにはどうしたらよいかと思われるかもしれません。

ウェブコンテンツとやり取りする場合は、レンダラープロセスにスクリプトを追加する必要があります。 なぜならレンダラは通常のウェブ環境で動作するので、<script> タグを index.html ファイルの最後の </body> タグの直前に追加して任意のスクリプトをインクルードできます。

<script src="./renderer.js"></script>

renderer.js に含まれるコードは、webpack でコードをバンドルして最小化したり、React を使用してユーザーインターフェースを管理するなど、一般的なフロントエンド開発と同じ JavaScript API やツールを利用できます。

まとめ

以上の手順により、以下のような完全な機能の Electron のアプリケーションが完成しました。

シンプルな Electron アプリ

コード全体は以下のとおりです。

// main.js

// アプリケーションの寿命の制御と、ネイティブなブラウザウインドウを作成するモジュール
const { app, BrowserWindow } = require('electron')
const path = require('path')

const createWindow = () => {
// ブラウザウインドウを作成します。
const mainWindow = new BrowserWindow({
width: 800,
height: 600,
webPreferences: {
preload: path.join(__dirname, 'preload.js')
}
})

// そしてアプリの index.html を読み込みます。
mainWindow.loadFile('index.html')

// デベロッパー ツールを開きます。
// mainWindow.webContents.openDevTools()
}

// このメソッドは、Electron の初期化が完了し、
// ブラウザウインドウの作成準備ができたときに呼ばれます。
// 一部のAPIはこのイベントが発生した後にのみ利用できます。
app.whenReady().then(() => {
createWindow()

app.on('activate', () => {
// macOS では、Dock アイコンのクリック時に他に開いているウインドウがない
// 場合、アプリのウインドウを再作成するのが一般的です。
if (BrowserWindow.getAllWindows().length === 0) createWindow()
})
})

// macOS を除き、全ウインドウが閉じられたときに終了します。 ユーザーが
// Cmd + Q で明示的に終了するまで、アプリケーションとそのメニューバーを
// アクティブにするのが一般的です。
app.on('window-all-closed', () => {
if (process.platform !== 'darwin') app.quit()
})

// このファイルでは、アプリ内のとある他のメインプロセスコードを
// インクルードできます。
// 別々のファイルに分割してここで require することもできます。
// preload.js

// プリロードプロセスでは Node.js の全 API が利用可能です。
// Chrome 拡張機能と同じサンドボックスも持っています。
window.addEventListener('DOMContentLoaded', () => {
const replaceText = (selector, text) => {
const element = document.getElementById(selector)
if (element) element.innerText = text
}

for (const dependency of ['chrome', 'node', 'electron']) {
replaceText(`${dependency}-version`, process.versions[dependency])
}
})
<!--index.html-->

<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<meta charset="UTF-8">
<!-- https://developer.mozilla.org/en-US/docs/Web/HTTP/CSP -->
<meta http-equiv="Content-Security-Policy" content="default-src 'self'; script-src 'self'">
<title>Hello World!</title>
</head>
<body>
<h1>Hello World!</h1>
We are using Node.js <span id="node-version"></span>,
Chromium <span id="chrome-version"></span>,
and Electron <span id="electron-version"></span>.

<!-- このプロセスで他ファイルを require して実行することもできます -->
<script src="./renderer.js"></script>
</body>
</html>
const { app, BrowserWindow } = require('electron')
const path = require('path')

function createWindow () {
const win = new BrowserWindow({
width: 800,
height: 600,
webPreferences: {
preload: path.join(__dirname, 'preload.js')
}
})

win.loadFile('index.html')
}

app.whenReady().then(() => {
createWindow()

app.on('activate', () => {
if (BrowserWindow.getAllWindows().length === 0) {
createWindow()
}
})
})

app.on('window-all-closed', () => {
if (process.platform !== 'darwin') {
app.quit()
}
})

これまでのステップを以下にまとめます。

  • Node.js アプリケーションを立ち上げ、Electron を依存関係に追加しました。

  • アプリ制御を担うメインプロセスを実行する main.js スクリプトを作成し、Node.js 環境で動作させました。 このスクリプトでは、Electron の appBrowserWindow モジュールを使って、ウェブコンテンツを別のプロセス (レンダラー) で表示するブラウザウインドウを作成しました。

  • レンダラーで特定の Node.js の機能にアクセスするために、BrowserWindow のコンストラクタでプリロードスクリプトをアタッチしました。

アプリケーションのパッケージと頒布

できたてのアプリを頒布する最速手段は Electron Forge を利用する方法です。

  1. アプリの開発用依存関係に Electron Forge を追加し、その import コマンドで Forge のセットアップをします。

    npm install --save-dev @electron-forge/cli
    npx electron-forge import

    ✔ Checking your system
    ✔ Initializing Git Repository
    ✔ Writing modified package.json file
    ✔ Installing dependencies
    ✔ Writing modified package.json file
    ✔ Fixing .gitignore

    We have ATTEMPTED to convert your app to be in a format that electron-forge understands.

    Thanks for using "electron-forge"!!!
  2. 以下のように Forge の make コマンドで頒布形式を作成します。

    npm run make

    > my-electron-app@1.0.0 make /my-electron-app
    > electron-forge make

    ✔ Checking your system
    ✔ Resolving Forge Config
    We need to package your application before we can make it
    ✔ Preparing to Package Application for arch: x64
    ✔ Preparing native dependencies
    ✔ Packaging Application
    Making for the following targets: zip
    ✔ Making for target: zip - On platform: darwin - For arch: x64

    Electron Forge は、out フォルダを作成してそこにパッケージを配置します。

    // macOS の例
    out/
    ├── out/make/zip/darwin/x64/my-electron-app-darwin-x64-1.0.0.zip
    ├── ...
    └── out/my-electron-app-darwin-x64/my-electron-app.app/Contents/MacOS/my-electron-app