WebView2 と Electron
この数週間で、新しい WebView2 と Electron の違いについていくつかご質問をいただきました。
両チームとも、ウェブ技術をデスクトップ上で最高のものにするという目標を掲げているため、共通点の総合的な比較を検討してみましょう。
Electron と WebView2 は、行動が早く、常に進化しているプロジェクトです。 現在の Electron と WebView2 の共通点と相違点を簡単にまとめてみました。
アーキテクチャの概要
Electron と WebView2 はどちらも、ウェブコンテンツのレンダリングに Chromium ソースを使用しています。 厳密には WebView2 は Edge のソースからビルドされています。しかし、Edge は Chromium のソースをフォークしてビルドされています。 Electron は Chrome と DLL を共有していません。 WebView2 のバイナリは、Edge (Edge 90 の安定チャンネル) をハードリンクしているので、ディスクや一部の動作セットを共有しています。 詳細は Evergreen ディストリビューションモード をご参照ください。
Electron アプリは、常に開発時のバージョンの Electron をバンドルして頒布しています。 WebView2 では、頒布にあたって 2 つの選択肢があります。 アプリケーションが開発された WebView2 ライブラリをそのままバンドルすることもできますし、システム上に既存の共有ランタイム版を使用することもできます。 WebView2 は、共有ランタイムが見つからない場合のブートストラップインストーラーを含む、各手段向けのツールを提供しています。 WebView2 は、Windows 11 から 標準で 付属します。
フレームワークをバンドルしているアプリケーションは、マイナーなセキュリティリリースを含め、そのフレームワークをアップデートする責任があります。 共有 WebView2 ランタイムを使用しているアプリの場合、WebView2 には Chrome や Edge に似た独自の更新機能が用意されており、アプリとは独立して実行されます。 Electron と同じく、アプリケーションのコードやその他の依存関係の更新は開発者の責任です。 Electron も WebView2 も Windows Update では管理されません。
Electron と WebView2 は、どちらも Chromium のマルチプロセスアーキテクチャを継承しています。つまり、1 つのメインプロセスが 1 つ以上のレンダラープロセスと通信します。 これらのプロセスは、システム上で動作している他のアプリケーションと完全に分離されます。 すべての Electron アプリケーションは、ルートのブラウザプロセス、いくつかのユーティリティプロセス、0 個以上のレンダープロセスを含む、独 立したプロセスツリーを構成します。 同じ ユーザーデータフォルダ を使用している WebView2 アプリ (スイートアプリのようなもの) は、レンダラープロセス以外を共有します。 異なるデータフォルダを使用している WebView2 アプリは、プロセスを共有しません。
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ElectronJS プロセスモデル:
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WebView2 ベースのアプリケーションプロセスモデル:
WebView2 のプロセスモデル と Electron のプロセスモデル についてはこちらをご覧ください。
Electron は、メニュー、ファイルシステムへのアクセス、通知など、デスクトップアプリケーションの一般的需要に応える API を提供します。 WebView2 は、WinForms、WPF、WinUI、Win32 などのアプリケーションフレームワークに統合されることを目的としたコンポーネントです。 WebView2 は JavaScript によるウェブ規格外の OS API を提供しません。
Electron は Node.js を統合しています。 Electron アプリケーションは、レンダラープロセスやメインプロセスから Node.js API、モジュール、Node ネイティブアドオンを利用できます。 WebView2 アプリケーションは、アプリケーションの他の部分が書かれている言語やフレームワークを前提にしていません。 JavaScript コードからオペレーティングシステムへアクセスするには、アプリケーションホストプロセスを介する必要があります。
Electron は、Fugu Project が開発した API を含むウェブ API との互換性を維持するよう努めています。 こちらに Electron の Fugu API 対応状況のスナップショット を用意しました。 WebView2 では、Edge との API の違い について同様のリストを作成しています。
Electron でのウェブコンテンツのセキュリティモデルは、フルアクセスからフルサンドボックスまで設定可能です。 WebView2 のコンテンツは常にサンドボックス化されます。 Electron はセキュリティモデルの選択について、包括的なセキュリティドキュメント を用意しています。 WebView2 にも セキュリティのベストプラクティス が用意されています。
Electron のソースは GitHub 上でメンテンスされており、自由に利用できます。 アプリケーションは、Electron の独自 ブランド を構築で きるように変更を加えられます。 WebView2 のソースは GitHub 上で利用できません。
簡単な概要:
Electron | WebView2 | |
---|---|---|
ビルドの依存関係 | Chromium | エッジ |
GitHub 上でコードが利用可能 | あり | なし |
Edge/Chrome DLL の共有 | なし | あり (Edge 90 のもの) |
アプリケーション間でのランタイム共有 | なし | 任意 |
アプリケーション API | あり | なし |
Node.js | あり | なし |
サンドボックス | 任意 | 常時 |
アプリケーションフレームワークの必要性 | なし | あり |
サポートされているプラットフォーム | Mac, Win, Linux | Win (Mac/Linux は計画中) |
アプリ間でのプロセス共有 | なし | 任意 |
フレームワークの更新機構 | アプリケーション | WebView2 |